ウンブリア州のスペッロという村を訪れたのは、12月に入る頃でした。
オリーブオイルの生産者のご自宅に招かれ、彼の車で向かったスペッロの旧市街は、中世の街並みが残る世界でした。
絵本のなかに迷い込んだような、石畳の坂の途中にある家にお邪魔すると、部屋のなかでは暖炉がパチパチと燃え、
数枚に切られたパンが焼かれているところでした。
彼はそのこんがりと焼かれたパンに「私たちのつくったオリーブオイルだよ」と言って、
たっぷりとオリーブオイルをかけて差し出してくれました。
その世界一シンプルな「ブルスケッタ」のおいしいこと・・・!
「ほっぺたが落ちるほどおいしいとはこのことか…!」と実感するほどに、
オリーブオイルを食べて感動したのは、それが初めてのことでした。
オリーブオイルの生産者たちとスペッロでの生活を共にするなかで、
自分の生まれ育った土地と周囲の人々を愛し、そこで古くから受け継がれてきたオリーブオイルを大切に育て、
村をあげてオリーブオイルの収穫を祝う彼らの生き方は、とても魅力的に感じられました。
人生を楽しみ、心に豊かさをもって生きているスペッロの人々と繋がり、そのヒントをもっと知りたい。
そして、オリーブオイルを食べたときの感動を伝えたい。
そう願って、スペッロのオリーブオイルを輸入しています。
※)ウンブリア州は、イタリアの中央に位置します。スペッロは、イタリアの「最も美しい村」のひとつに選ばれています。
また、インフィオラータという花の祭典で知られます。そのことについても、SNSで発信しています。
L’ombelico−イタリアのおへそ−:秋山 唯
「人間本来の豊かな暮らしとは?」を探るため、まず足を踏み入れたのが看護学。その後、イタリア食科学大学大学院にて学び、「食」は時空と空間を超えてすべての人間をつなぐ切り口だと実感する。ウンブリア州スペッロのオリーブオイル生産者のもとでインターンシップを行い、スペッロの街に魅了されるとともに、オリーブオイルをかけただけのブルスケッタの美味しさに感動。2014年イタリアのおへそとして、直輸入とオンラインショップをスタート。